「また売りたい」89.2%を止めていたもの

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

「また売りたい」。

既存のお客様についてうかがうと、通販事業者の9割近くがこう答えます。

タイトルの89.2%は、私が現場でお会いしてきた事業者へのヒアリングを集計した数字です。

つまり、売りたい気持ちは、ほぼ全員にあります。

ところが、実際の解約率を見ると、その気持ちとは逆のことが起きています。

まず、事実から始めます。

多くの会社で、一度離れたお客様は戻っていません。

しかも、離れる瞬間の体験が、戻れない理由をつくっています。

そこで今日は、「また売りたい」を止めていたものの正体をお伝えします。

ただし、引き止めトークの強化ではありません。

前提|解約率を上げていたのは、商品ではなく仕組み

解約率の話をすると、まず商品の改良が議題になります。

しかし、数字は別のことを示しています。

私は2016年10月から2024年1月まで、全3,960件のキャンセル理由を分析しました。

このうち、理由の記録がある3,067件で見ると、商品への不満は654件です。

つまり、約2割にすぎません。

一方、残りの約8割は「余って追いつかない」「生活が変わった」「手続きが面倒」でした。

要するに、お客様は商品を嫌いになって離れたのではありません。

付き合い方を選べなくて、離れたのです。

前提|多くの会社は、解約を難しくして守ろうとする

ところが現場では、逆の対策が打たれます。

たとえば、解約の受付を電話だけに絞る。

あるいは、解約ページの入口を深い階層に隠す。

さらに、引き止めのスクリプトを長くする。

こうした設計は、いま消費者庁が問題にしているダークパターン規制の対象領域と重なります。

しかも、規制以前に、商売として損をしています。

なぜなら、嫌な思いをして出て行った方は、二度と戻らないからです。

つまり、解約率は一時的に下がっても、生涯の売上は確実に減ります。

前提|解約率を動かす、3つの設計

そこで、止める設計ではなく、選べる設計に変えてください。

まず、解約・休止・スキップ・お届け変更を、同じ画面に等価に並べます。

なぜなら、選択肢が並んでいれば、多くの方は「やめる」ではなく「調整」を選ぶからです。

次に、出荷の7日前に「今回どうしますか」と先に聞きます。

余りが理由の解約は、この一通でかなりの部分が防げます。

最後に、やめた方に戻り口を残します。

具体的には、再開が1タップで済むご案内を、時期を置いてお送りします。

なお、この3つはいずれも、引き止めを1回もしていません。

事例|20年の現場で見た、戻ってくださる方の共通点

私は20年以上、通販の事業会社で実務を続けてきました。

年商600億円規模の通販企業で、社員として現場に立ってきました。

さらに、ゼロイチから11の事業を立ち上げています。

その中で、一度離れて戻ってくださった方には共通点がありました。

やめるとき、気持ちよくやめられた方です。

実際、「すぐに手続きしてくれてありがとう」と言って離れた方は、数か月後に戻られます。

一方、引き止めを振り切って出た方は、名簿に残っていても戻りません。

要するに、解約対応は最後の接客ではなく、次の初回対応なのです。

離れた後の追い方は、優良休眠の記事で詳しくお伝えしています。

事例|「妨げる要因」を先に外す

私は『伝説の通販バイブル』(日経BP/2015年12月18日刊)を書きました。

同書では、LTV(顧客生涯価値)から商品企画、在庫・物流、コールセンターまで、通販の全体設計を扱っています。

つまり、LTVは集客ではなく、離れ際の設計で削られます。

だから、伸ばす施策の前に、妨げているものを外すのが先です。

解約のしにくさは、その筆頭にあります。

なぜなら、そこだけはお客様全員が最後に必ず通る場所だからです。

まとめ|解約率を確かめる3つの問い

そこで、いまの自社を測ってみてください。

問1. 解約の手段は何通りありますか。電話だけになっていませんか。

問2. 解約理由のうち、商品への不満は何割ですか。即答できますか。

問3. 一度やめて戻ってくださった方は、直近1年で何人ですか。

3つとも答えられるなら、解約率はすでに管理できています。

一方、1つでも詰まったなら、止めているのはお客様ではなく仕組みです。

まとめ|今日の一手

今日やることは、ひとつだけです。

自社の解約手続きを、お客様として最後まで自分でやってみてください。

そのうえで、かかった手順と時間を紙に書いてください。

その数字が、「また売りたい」を止めていたものの正体です。

関連記事:ダークパターン規制はいつから休眠顧客とは

まとめ|次の段階へ

ここから先は、やめやすさを入口に、戻ってきていただく導線の設計になります。

もっとも、適切な設計は商材の消費サイクルと単価で変わります。

自社がいまどの段階にいるのかを、まず確かめてみてください。

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関連リンク

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東洋経済オンライン掲載 記事
↓↓↓↓
http://toyokeizai.net/articles/-/125443

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。