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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
客数を経営指標として扱えているでしょうか。
トライアルHDの2026年6月期決算で、西友の既存店売上高は10カ月連続プラスとなりました。
決算会見で最初に語られたのは客数改善でした。
顧客の支持を数字に翻訳し、既存顧客のLTVと定期購入につなげる
CRM設計の手順を、通販・D2C事業者向けに具体的に解説します。
決算資料を読むとき、あなたはどこから見るでしょうか。多くの方は、売上高から見ます。
しかし、事業の健康状態は客数に出ます。
本記事では、2026年8月13日発表の
トライアルホールディングス決算を教材に、客数を経営の中心に戻す方法を扱います。
大きな数字ほど、客数で読む
まず、決算の概要を確認します。
トライアルホールディングスが8月13日に発表した2026年6月期決算によると、売上高1兆3471億900万円(前期比67.6%増)、営業利益303億7100万円(43.9%増)、経常利益201億8600万円(9.1%減)、親会社に帰属する当期利益35億2200万円(70.0%減)となった。
また、26期連続の増収となっている。
出典:流通ニュース「トライアルHD 決算/6月期売上高1兆3471億円、西友の統合で大幅な増収増益」/
https://www.ryutsuu.biz/accounts/s081318.html
売上高は67.6%増です。ただし、これは西友の完全子会社化による規模拡大が大きく効いています。
M&Aによる増収は、事業の実力とは別物です。
だからこそ、既存事業の客数を見る必要があります。
経営者が最初に口にした言葉
決算会見で語られた内容が、そのまま記事になっています。
西友の楢木野仁司社長は同日開催された決算会見で、好業績の要因について「トライアルの客数改善が進んだ。西友の既存店売上高、客数が大幅に回復。営業利益率3.0%と中計最終年度(29年6月期)目標(3.1%)に迫る高い数値となった」と説明した。
出典:流通ニュース「トライアルHD 決算/6月期売上高1兆3471億円、西友の統合で大幅な増収増益」/
https://www.ryutsuu.biz/accounts/s081318.html
客数改善が、最初に来ています。そのうえで、営業利益率3.0%という数字が続きます。
客数が原因で、利益率が結果である、という語り順です。
この順番は、通販・D2Cの経営にもそのまま当てはまります。
10カ月連続という時間の長さ
回復の中身を見ていきましょう。
2026年7月まで、既存店売上高は10カ月連続プラス。2026年7月の客数は前年同月比10.5%となるなど大幅な回復を見せている。
出典:流通ニュース「西友/楢木野社長『業績好調の要因は顧客の支持回復と現場の適応力』」/
https://www.ryutsuu.biz/strategy/s081319.html
10カ月という時間には、意味があります。短期の販促では、ここまで続きません。
続いたということは、顧客の来店理由そのものが変わったということです。
では、何を変えたのでしょうか。
「トライアルの名物商品、低価格プライベートブランド(PB)、トライアル流の棚割りの導入など相次いで実施し、顧客の支持が拡大した。また、西友が以前ウォルマートの傘下にあったことからトライアル流になじみやすく、高い適応力と実行力で新たな戦略を早期に展開できた」
出典:流通ニュース「西友/楢木野社長『業績好調の要因は顧客の支持回復と現場の適応力』」/
https://www.ryutsuu.biz/strategy/s081319.html
商品を持ち込み、棚割りを変えました。
つまり、来る理由と選ぶ理由を作り直したのです。割引を配ったのではありません。
売上と客数が同じ幅で伸びているか
業態転換した店舗の実績が、さらに具体的です。
3店舗の転換後8カ月(2025年12月~2026年7月)の実績は売上高は約42%増、客数約38%増と大きく伸びている。
中小型のスーパーマーケット(約2000m2規模)の改装も進めており、2026年6月期は5店舗をリニューアル。5店舗の改装後6カ月(2026年2~7月)の実績は売上高約22%増、客数約23%増となっている。
出典:流通ニュース「西友/楢木野社長『業績好調の要因は顧客の支持回復と現場の適応力』」/
https://www.ryutsuu.biz/strategy/s081319.html
売上と客数の伸び幅が、ほぼ揃っています。この揃い方が、支持されている事業の特徴です。
売上だけが伸びていれば、単価を上げたか、既存顧客に買い増しさせただけです。
一時的には利益が出ますが、翌年の土台にはなりません。商品の展開規模も公表されています。
西友店舗へのトライアルPBの導入状況は、「ロースかつ重」が約230店舗、「たっぷり玉子サンド」は約150店舗となっており、トライアルの名物商品が顧客支持の回復に大きく貢献しているという。
出典:流通ニュース「西友/楢木野社長『業績好調の要因は顧客の支持回復と現場の適応力』」/
https://www.ryutsuu.biz/strategy/s081319.html
全店ではなく、約230店舗と約150店舗です。つまり、まだ拡大の余地を残した状態で客数が戻っています。
小さく始めて、効いたものを広げる。これは、ミニマム通販の考え方とまったく同じです。
通販への落とし込み
店舗の客数は、通販では稼働顧客数にあたります。
その月に1回でも購入した既存顧客の実数です。
この数字を、次の3つに割ってください。
1つめは、新規で買った人の数です。
2つめは、前月も買っていた人の数です。
3つめは、3カ月以上あいてから戻ってきた人の数です。
新規だけが伸びていれば、広告費で買った売上です。
2つめが伸びていれば、支持が積み上がっています。
3つめが伸びていれば、離反していた顧客が戻っています。
そして定期購入を扱う事業であれば、支持はもっと早く数字に出ます。
私は拙著『「小さな会社」ネット通販 億超えのルール』の第4章で、
法則11として「定期購入の支持」の法則を整理しました。
お伝えしているのは、初回購入から2回目購入までの間隔についてです。
この間隔は、小さな会社の経営にとって非常に重要な指標の1つです。
同書では、定期購入制度に「お休み制度」を導入することで
解約率が約10%減少した点にも触れています。
解約理由の第1位は「商品が使い切れずに余ってしまう」ことです。
支持を失っているのではなく、ペースが合っていないだけの顧客がいるのです。
客数を見ていない会社は、この違いを見分けられません。
見分けられないから、支持している顧客にまで割引を配ってしまいます。
まとめ
客数は、もっとも正直な指標です。
売上は操作できますが、客数は操作しづらいのです。
今月の稼働顧客数を3つに割ることから、始めてみてください。
〔既存顧客→優良顧客〕の階段が、そこから設計できます。
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