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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
広告費が、上がり続けています。
その重力が、定期購入の設計を静かにゆがめています。
この記事では、LTVの意味が変わりつつある今、
化粧品D2Cが定期購入問題を超えて顧客起点で稼ぐための設計図を整理します。
読み終えると、「縛る定期」から「支持される定期」への切り替え方が見えてきます。
LTVの前提が揺らいでいる
化粧品は、消耗品を継続的に売るリピート型の事業として育ってきました。
品質と使用実感で信頼を築き、長く使ってもらってLTVを高める。
これが成長の基本モデルでした。
その前提が、いま大きく揺らいでいます。
化粧品は、化粧水や美容液といった消耗品を継続的に販売することで利益を生み出すリピート型の事業として発展してきました。
製品の品質や使用実感を通じて顧客との信頼関係を築き、長期的な継続利用を促すことで顧客生涯価値(LTV)を高めることが成長の基本モデルでした。
スマートフォンの普及とデジタル広告の進化で市場環境は変わり、参入障壁が下がったことで競争は激化しています。
出典:週刊粧業オンライン「化粧品通販の定期購入問題はなぜ起きるのか~広告費高騰で変わるLTVの意味とブランド経営の課題」(加藤英俊)/ https://www.syogyo.jp/news/2026/06/post_044155
競争が激しくなり、新しい需要を掘り起こすのも難しくなりました。
その中で、顧客獲得コストだけが上がり続けています。
化粧品は、もともと品質と実感でファンを育てられる商材です。
その強みが、広告費の重力の前で見えにくくなっているのが、いまの課題です。
広告費高騰がLTVの意味を書き換える
なぜ今、このテーマが重要なのでしょうか。
広告費の上昇が、LTVの意味そのものを変えているからです。
限られた顧客を獲得するための競争が続く中で、顧客獲得コストは上昇を続けています。
企業は投下した広告費を回収すること自体が、大きな経営課題となっています。
出典:週刊粧業オンライン「化粧品通販の定期購入問題はなぜ起きるのか~広告費高騰で変わるLTVの意味とブランド経営の課題」(加藤英俊)/ https://www.syogyo.jp/news/2026/06/post_044155
広告費の回収が課題になると、「最初に縛って回収する」発想に傾きます。
その帰結が、解約させない導線であり、定期購入問題です。
同記事は、問題の構造をこう要約していました。
・定期購入トラブル急増の現実
・広告費の重力から逃れられない構造
・定期購入は「仕組み」ではなく「思想」で崩れる
・規制が変えたのはルールではなく前提出典:週刊粧業オンライン「化粧品通販の定期購入問題はなぜ起きるのか~広告費高騰で変わるLTVの意味とブランド経営の課題」(加藤英俊)/ https://www.syogyo.jp/news/2026/06/post_044155
ここで、見えない敵が現れます。
敵はお客様でも広告費でもなく、回収を急ぐ私たち自身の焦りです。
焦りは、設計に必ず出ます。
そして、その焦りはお客様にもちゃんと伝わってしまいます。
解決の方向性:縛るLTVから、信頼前提のLTVへ
ここから、方向性を考えます。
LTVを「一人からいくら搾り取れるか」と読むと、設計は縛りに向かいます。
LTVを「どれだけ長く信頼してもらえるか」と読み替えると、設計は関係づくりに向かいます。
これが、LTV再定義の核心です。
定期購入は仕組みではなく思想で崩れる、と一次情報は指摘していました。
解約フォームを複雑にしても、定期購入問題は解けません。
解けるのは、「次もこの人から買いたい」という気持ちを設計したときだけです。
ここに、ブランド経営としての視点が重なります。
集めた人を「数」として扱うと、回収の発想から抜け出せません。
集めた人を「これから関係を育てる相手」と扱うと、設計は顧客起点に変わります。
顧客起点とは、出発点を「自社の回収都合」から「お客様の体験」へ移すことです。
この移動は、難しい投資を必要としません。
必要なのは、メールの一言や同梱物の一枚に「お客様の次の不安」を先回りして置くことです。
化粧品なら、初回の使い方や肌に合わないときの相談先を、先に伝えておく。
その小さな配慮が積み重なって、解約されない関係が育っていきます。
ここで、拙著『「小さな会社」ネット通販 億超えのルール』に触れておきます。
同書の第4章では、法則11として「定期購入の支持」の法則を整理しています。
支持される定期とは、縛る定期ではなく、お客様が自分から続けたくなる定期です。
その出発点として同書が重視するのが、初回購入から2回目購入までの「間隔」という指標でした。
最初の一歩がうまくつながるかどうかで、その後の関係の温度が決まります。
今日から動ける一手:初回から2回目までの「1通」
最後に、今日から動ける一手です。
初回購入から2回目購入までの「間」に、接点を1つ足してみてください。
売り込みではなく、「届きましたか」「最初の使い方はこうですよ」の一声です。
このたった1通が、解約導線をいじるより先にやるべき関係づくりの第一歩です。
解約のしやすさは、もはや前提条件です。
やめやすくしたうえで、それでも続けたくなる理由を先に用意しておく。
広告費は出会いのコスト、関係を続ける力は出会った後の設計から生まれます。
縛るのをやめて、支持される定期へ。
その順番の入れ替えから、化粧品D2CのLTVは再定義されていきます。
まとめ
広告費の重力は、これからも私たちを引っ張ります。
その重力に負けて縛るのか、信頼を前提に集めてから売るのか。
ファネルでいえば、〔見込み客→顧客→ファン〕の階段を一段ずつ昇ってもらう設計です。
今日の一手は、初回から2回目までの「1通」。
そこから、あなたのブランドのLTVを再定義していきましょう。
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