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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
相互送客とは、ECと実店舗が互いにお客様を送り合い、
売上とリピートを同時に育てる設計のことです。
この記事では、しまむらの最新決算の数字をもとに、
相互送客をどう実務へ落とすかを整理します。
通販・D2C事業者が、今日から使える形にまでかみ砕いてお伝えします。
相互送客が注目される背景
新規顧客の獲得コストは、広告費の高騰とともに重くなり続けています。
一度きりの購入で関係が終われば、その重いコストは回収できません。
だからこそ、集めたお客様と何度も接点を持つ相互送客が見直されています。
その効果が、しまむらの数字にはっきり表れました。
しまむらグループの2026年3-5月期(第1四半期)におけるEC売上高は、前年同期比30.0%増の53億円だった。店舗受取比率は88.3%に達し、ECと実店舗の相互送客が売上拡大につながった。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「しまむらのEC事業が好調、2026年3-5月期(1Q)EC売上は3割増の53億円、店舗受取比率は88%」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/03/16350
店舗受取比率88.3%は、相互送客が実際に機能している証拠です。
ECで買ったお客様が店舗に足を運び、そこで別の商品にも出会います。
この往復が、売上の上積みを生んでいるのです。
相互送客を動かす「入口の集約」
相互送客は、偶然では続きません。
しまむらは、入口を1つに集約する大きな判断をしていました。
しまむらは、2025年10月に事業ごとに分かれていたオンラインストアを「しまむらパーク」に統合するなど、EC強化を進めてきた。2027年2月期通期のEC売上高は210億円を目標に掲げている。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「しまむらのEC事業が好調、2026年3-5月期(1Q)EC売上は3割増の53億円、店舗受取比率は88%」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/03/16350
バラバラだったオンラインストアを、1つのアプリに束ねた点が重要です。
入口が1つになると、お客様の属性や購買履歴も1か所に集まります。
集まったデータが、次の相互送客の精度をさらに高めます。
データが来店を生む仕組み
集約したデータは、そのまま眠らせては意味がありません。
しまむらは、それをメルマガという接点で行動へ変えていました。
会員数1100万人を突破した公式アプリ「しまむらパーク」で取得した会員属性や購買履歴などのデータを活用し、メールマガジンを配信。メルマガの開封率は53.7%で、そのうち四半期累計214万人が来店し、購買率は19.3%となった。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「しまむらのEC事業が好調、2026年3-5月期(1Q)EC売上は3割増の53億円、店舗受取比率は88%」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/03/16350
開封率53.7%は、会員データを活かした配信の精度を物語ります。
そこから214万人が来店し、19.3%が購買に至りました。
デジタルの一通が、リアルの来店客数を押し上げているのです。
これが相互送客の理想形です。
ブランド横断でも効く相互送客
相互送客の効果は、しまむら単体にとどまりませんでした。
「アベイル」のEC売上高は同36.3%増。「バースデイ」は同51.3%増だった。108万人のフォロワーを持つ公式Instagramと連動した施策などに取り組んだ。「シャンブル」は同189.4%増と大幅に伸長した。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「しまむらのEC事業が好調、2026年3-5月期(1Q)EC売上は3割増の53億円、店舗受取比率は88%」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/03/16350
各ブランドに共通するのは、SNSで集めてECと店舗で売る流れです。
見えない敵は、いつも「分断されたチャネル」です。
ECと店舗、SNSと会員基盤が別々に動くほど、お客様は迷子になります。
相互送客は、その分断をやさしくつなぎ直す設計だといえます。
店舗受取と新チャネルが相互送客を広げる
相互送客は、送客の「場」を増やすほど強くなります。
しまむらは、店舗受取に加えて新しい入口も育てていました。
2025年7月に開設したBtoB-ECサイト「しまサポ直トク便」も利用が拡大している。企業からのオリジナルTシャツのオーダーや、チャイルドシートのまとめ買いなど、BtoB領域での利用が進んだ。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「しまむらのEC事業が好調、2026年3-5月期(1Q)EC売上は3割増の53億円、店舗受取比率は88%」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/03/16350
BtoB向けの新チャネルも、相互送客の受け皿になっています。
店舗受取が88.3%まで高いことには、もう1つの意味があります。
店舗で受け取れば、宅配の送料負担を抑えられる可能性があります(※ここは編集部の解釈です)。
送料を抑えつつ再来店も生む点で、店舗受取は相互送客の中核になります。
利益率と来店客数の両方に効くのが、この設計の強みです。
小さな通販が今日からできる相互送客
規模が小さくても、相互送客の考え方はそのまま応用できます。
第一に、会員登録・LINE・メルマガの入口を1本に束ねます。
第二に、購入後のメールで次のイベントやライブを必ず案内します。
第三に、開封率と来訪・購買率をセットで測り、改善を回します。
ここで拙著『「小さな会社」ネット通販 億超えのルール』で
整理した「定期購入の支持」の法則が効いてきます。
同書では、初回購入から2回目購入までの間隔を、
小さな会社の重要な経営指標として扱っています。
相互送客とは、この「2回目の来訪」を意図的に設計する取り組みそのものです。
まとめ
相互送客は、広告依存から抜け出し、売上とリピートを同時に育てる設計です。
入口を束ね、データで接点をつくり、次の一歩を案内する。
この3つを回すだけで、〔見込み客→顧客→リピーター〕の階段は着実に伸びます。
まずは自社の入口が何本に分かれているかを、今日数えてみてください。
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