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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
基幹EC刷新の判断基準が、フルスクラッチ前提からSaaS型前提へと変わりつつあります。
ニッセンがShopifyとStack「SQ」を採用した一次情報をもとに、通販事業者が刷新で
押さえるべき5つの観点と、D2C・ミニマム通販への横展開のヒントをファネル設計士の視点でまとめます。
基幹EC刷新の判断基準が、いま静かに書き換えられています。
きっかけは2026年5月18日、ニッセンが基幹ECサイトをShopifyへ移行すると発表したことです。
本記事では一次情報を踏まえ、通販事業者がいま基幹EC刷新で見るべき5つの観点と、
D2C・ミニマム通販への横展開のヒントを整理します。
通販事業者がいま直面している「基幹EC刷新」の現実
通販事業者にとって、基幹EC刷新は何年に一度の大型プロジェクトです。
ですがその判断基準は、いま大きく変わりつつあります。
象徴的だったのが、2026年5月18日に発表された次のニュースでした。
グローバルコマースをリードするShopify(ショッピファイ)の日本法人 Shopify Japan株式会社は、このたび、カタログ通販・オンラインショッピング通販を運営する株式会社ニッセンが、Shopifyのエンタープライズ向けコマースプラットフォームを採用したことを発表します。
出典:PR TIMES「ニッセン、基幹ECプラットフォームの刷新に向けてShopifyを採用」/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000166.000034630.html
ニッセンといえば、日本のカタログ通販を象徴する老舗の1社です。
そのニッセンが、フルスクラッチ型のECシステムを見直し、SaaS型のShopifyを採用した。
この事実は、通販業界の中で「基幹EC刷新」の意味合いそのものを書き換える出来事になりました。
なぜ今、基幹EC刷新でSaaS型が選ばれるのか
なぜ、フルスクラッチではなくSaaS型なのでしょうか。ニッセンの発表からは、3つの理由が浮かびあがります。
1つめは、実行リスクとコストの問題です。
ニッセンでは当初、フルスクラッチ型システムによるECプラットフォームの全面的な再構築を計画していましたが、実行リスク、コスト、運用負荷を踏まえ、その方針を見直しました。
出典:PR TIMES「ニッセン、基幹ECプラットフォームの刷新に向けてShopifyを採用」/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000166.000034630.html
フルスクラッチでの全面再構築は、初期コストだけでなく、運用に入ってからの保守コストも肥大化します。
2つめは、拡張性と継続的イノベーションの問題です。
2025年11月より厳格な評価プロセス(Fit&Gap)を開始し、長期的な拡張性と継続的なイノベーションを支える基盤として、Shopifyのエンタープライズ向けプラットフォームの採用を決定しました。
出典:PR TIMES「ニッセン、基幹ECプラットフォームの刷新に向けてShopifyを採用」/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000166.000034630.html
SaaS型は、プラットフォーマーが継続的に機能を投入してくれます。
自社の開発リソースを、差別化が効く領域に集中投下できるという利点があります。
3つめは、日本市場特有の業務要件への対応です。
カタログ通販、コールセンター、サブスクリプション、後払い決済、複雑な配送設定など
日本ならではの業務要件が標準的にSaaSで吸収できるようになってきました。
ニッセンが選んだ「Shopify+SQ」二段構えの設計思想
ニッセンの発表で注目すべきは、Shopify単体採用ではなかった点です。
「Shopify」の導入にあわせて、Stackが提供するコマースオペレーションプラットフォーム「SQ」も採用する。「SQ」は、受注、在庫、物流、顧客データ、販促、分析といった業務領域を横断的に統合管理し、「Shopify」とニッセンが長年運用してきた社内システムをつなぐ役割を担う。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「ニッセンがECの基幹システムに『Shopify』を導入」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/05/19/16091
Shopifyがフロントエンド(顧客接点)を担い、SQがオペレーション層(業務要件)を吸収する。
この二段構えで、長年運用してきた社内システムとも橋渡しをする。
通販事業者が基幹EC刷新を考えるとき、「すべてSaaS化」か「フルスクラッチ維持」かの二択ではなく、
SaaS+オペレーション層という第三の選択肢があることを、ニッセンの事例は示してくれています。
D2C・ミニマム通販がここから学べる5つの観点
ここからは、規模を問わずD2C・ミニマム通販事業者が押さえておきたい5つの観点を整理します。
第1の観点は、販売チャネルの棚卸しです。
EC、カタログ、コールセンター、LINE、SNS、店舗のうち、自社の顧客接点はどこにあるかを棚卸ししてみてください。
第2の観点は、受注・在庫・顧客データの統合可否です。
3つ以上のシステムに分散している事業者は、刷新で得られる効果がいちばん大きい層です。
第3の観点は、サブスクリプション機能の標準実装です。
定期購入を扱うD2C事業者にとって、サブスク機能が標準でついてくるか、アプリ追加が必要かは大きな分岐点です。
第4の観点は、決済・配送の柔軟性です。
後払い決済、独自決済、複雑な配送設定など、
日本市場特有の要件をどこまで標準で吸収できるか確認してください。
第5の観点は、AIエージェント時代への対応です。
商品データの構造化、API連携の柔軟性、外部AIエージェント経由の
購買フローへの対応など、フロントエンドの変化スピードを支えられる基盤かを問うべき段階に入っています。
まとめと関連記事
基幹EC刷新の議論は、いま「どのSaaSを選ぶか」ではなく「どんな統合コマース基盤を作るか」に移っています。
通販事業者の経営者・マーケティング責任者の方は、まずは自社の販売チャネルを棚卸しすることから始めてみてください。
棚卸しが終わったら、F2転換率や定期解約率といった既存のKPIと突き合わせる。
そこから初めて、基幹EC刷新の判断材料がそろっていきます。
ファネル設計士の視点でいうと、基幹EC刷新は単なるシステム入れ替えではなく、
「ファネル全体を支える土台の再設計」です。
見込み客から優良顧客への階段を、何段で・どれくらいの精度で組めるか。
その勝負がいま、基幹システムの選定で動きはじめています。
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