原料高騰の対策【値上げの前に検討したい代替原料×社会課題の商品開発】

原料高騰の対策【値上げの前に検討したい代替原料×社会課題の商品開発】

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

原料高騰への対策と聞くと、
値上げと原価低減しか思い浮かばない方が多いのではないでしょうか。

本記事では、主原料の高騰をきっかけに、余剰脱脂粉乳という
代替原料で新商品を生んだ通販企業Real Styleの実例を解説します。

読み終える頃には、原料高騰を「削る課題」ではなく
「つくる機会」として設計し直す視点が手に入ります。

原料高騰の現在地:主力商品の心臓部が値上がりする時代

送料や包材の高騰は、多くの通販企業がすでに経験してきました。
いま起きているのは、その先です。

商品の中身そのもの、つまり主原料の価格が上がり始めています。
プロテイン通販「ビーレジェンドプロテイン」のReal Style(リアルスタイル)も、その渦中にいました。

「商品開発の背景には、ホエイの高騰がある。当社の主力商品は、ホエイプロテイン。その原料が近年、大幅に値上がりしている。ホエイに代わる新たな原料を模索する中、国内の酪農家が、余剰となっている脱脂粉乳の活用方法を模索していると分かった」(EC販売部マーケティング課課長・木下潤氏)

出典:日本ネット経済新聞「Real Style、余剰脱脂粉乳でプロテインを製造 背景に”ホエイ”の高騰」(2026年7月19日)/ https://netkeizai.com/articles/detail/19264

主原料の高騰は、値上げだけでは吸収しきれません。
原料高騰の時代には、原料の選び直しまで踏み込む対策が必要になっています。

なぜ「代替原料」が原料高騰の突破口になるのか

Real Styleが選んだ代替原料は、国内で余剰になっている脱脂粉乳でした。

RealStyle(リアルスタイル)は8月20日、脱脂粉乳を原料にしたプロテイン「NON FAT MILK PROTEIN(ノンファットミルクプロテイン)」を自社ECサイトで発売する。国内で余剰となってしまっている脱脂粉乳を活用し、プロテインで社会課題の解決を目指すという。

出典:日本ネット経済新聞「Real Style、余剰脱脂粉乳でプロテインを製造 背景に”ホエイ”の高騰」/ https://netkeizai.com/articles/detail/19264

ここで大切なのは、需給の非対称に目をつけた点です。
自社にとって足りない原料の代わりに、世の中で余っている原料を探す。

高いものを我慢して買い続けるのではなく、余剰の側から仕入れを設計し直す。
原料高騰の対策は、実は仕入れの情報戦なのです。

しかも同社は、代替原料を妥協として語っていません。

「脱脂粉乳は単体としてのなじみは薄いかもしれないが、乳飲料などにはよく含まれている。ホエイと比べて牛乳感が強いのが特徴だ」(取締役経営企画室室長・植平和矢氏)

出典:日本ネット経済新聞「Real Style、余剰脱脂粉乳でプロテインを製造 背景に”ホエイ”の高騰」/ https://netkeizai.com/articles/detail/19264

牛乳感という味の個性に翻訳して、正面から価値として打ち出しています。

社会課題と地域を束ねる:商品開発が物語になる瞬間

原料の仕入れ方にも特徴があります。
原料の脱脂粉乳は、地方の酪農家と直接やり取りして仕入れているそうです。

「日本には、全国展開はしていないが、地元のスーパーではよく見かけるといった乳業メーカーも多い。この取り組みは、食品廃棄物の削減だけではなく、地域活性化にもつながると考えている。脱脂粉乳でプロテインを作るだけではなく、地域の農産物とコラボして、『ご当地プロテイン』を作っていきたいと考えている」(植平氏)

出典:日本ネット経済新聞「Real Style、余剰脱脂粉乳でプロテインを製造 背景に”ホエイ”の高騰」/ https://netkeizai.com/articles/detail/19264

食品廃棄物の削減と地域活性化という2つの社会課題が、1つの商品に束ねられています。
お客様が受け取るのは、安く済ませた代替品ではありません。

地域の困りごとを一緒に解決する物語つきの新商品です。
原料高騰から始まった商品開発が、ブランドの語り部に育っているわけです。

発売設計:先行販売で試してから自社ECで売る

発売の順番にも、小さな会社が真似できる設計があります。

同商品は、7月20日に、ドン・キホーテで先行発売した後、8月20日から自社ECサイトなどで販売するという。「当社の売り上げは現在、90%以上がホエイプロテインだ。この脱脂粉乳のプロテインは、売り上げの20~30%を挙げられる商品だと思っている」(木下氏)

出典:日本ネット経済新聞「Real Style、余剰脱脂粉乳でプロテインを製造 背景に”ホエイ”の高騰」/ https://netkeizai.com/articles/detail/19264

まず先行販売で反応を確かめ、その後に自社ECへ迎え入れる2段構えです。
売上の90%以上を1つの原料系統に依存する構造は、原料高騰の時代には大きなリスクです。

新商品を売上構成の2〜3割の柱に育てる構想は、原価対策と同時にリスク分散でもあります。
拙著『ミニマム通販バイブル』でお伝えしてきた、小さく試してから本格展開する順番が、ここでも生きています。

今日からできる原料高騰対策の一手

仕入れ先との次の打ち合わせで、1つだけ質問を足してください。
「いま、余って困っているものはありませんか」。

余剰は、値引きの種ではなく、新商品の種です。
需給の偏りを最初に見つけた会社が、次の柱をつくります。

まとめ

原料高騰の対策は、値上げと原価低減だけではありません。
余剰から仕入れを設計し直し、社会課題と地域の物語を束ねれば、危機は新商品に変わります。

ファネルの視点で言えば、物語のある商品は〔見込み客→顧客〕の階段を軽くします。
削る前に、つなぐ。

その順番で、原料高騰の時代を乗り越えていきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。