「最初の14日は返品できません」と書いたマットレスの話

お試し期間とは|季節2つを越える120日と、最初の14日は判断を待つ設計

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

お試し期間を、「返せる期間」だと考えていませんか。
実は、別の意味で設計している会社があります。

その会社は、睡眠ブランドのNELLを展開しています。
しかも、マットレスは累計22万台に届きました。

ところが、この会社は店頭では売りませんでした。
なぜなら、店頭の数十秒では伝わらないからです。

そこで、家で寝てもらう120日を用意しました。
さらに、最初の14日は返品を受け付けていません。

本稿では、お試し期間を設計する5手順を扱います。
なお、条件はすべて公式サイトで照合しています。

お試し期間が120日の、累計22万台のマットレス

まず、ブランドの現在地から入ります。
実際、発売は2020年10月でした。

そして、2025年12月時点で累計22万台です。
つまり、5年あまりでここまで届いています。

人は睡眠中の意識がないので、重要ではあるものの実感しにくい「寝返り」よりも、「店舗で数十秒寝転んだ時に感じる気持ちよさ」を重視してしまいがちです。
出典:株式会社Morght PR TIMES STORY(2023年7月19日)

つまり、売り場の数十秒には落とし穴があります。
だからこそ、この会社は店舗で売りませんでした。

お試し期間の長さは、季節で決まっていました

では、なぜ120日なのでしょうか。
実は、理由が公式サイトに書かれています。

春から夏、秋から冬など、2つのシーズンをカバーできるから
出典:NELL公式サイト「120日間フリートライアル」

つまり、季節を2つ越えるまでを待っています。
なぜなら、寝心地は気温や湿度で変わるからです。

その結果、お試し期間に理由が生まれました。
しかも、その理由はお客様にも伝わる言葉です。

たとえば、夏の暑い夜と冬の寒い夜では違います。
ですから、片方の季節だけでは判断がつきません。

手順1 数十秒で決めてしまう場面を書き出す

まず、お客様が一瞬で判断する場面を書きます。
たとえば、店頭で寝転ぶ数十秒です。

また、化粧品なら手の甲にのせた一瞬です。
あるいは、食品なら試食の一口になります。

ところが、一瞬の印象と暮らしの価値はずれます。
そこで、このずれを埋める時間が必要になります。

実際、試食の一口は空腹かどうかで味が変わります。
しかも、その一口だけで定番になるかは分かりません。

手順2 お試し期間の日数を、理由つきで決める

次に、良さに気づくまでの日数を決めます。
この会社は、季節2つという理由を添えました。

たとえば、調味料なら献立が一巡するまでです。
また、日用品なら1本を使い切るまでです。

つまり、日数より理由の言葉が大切です。
その結果、お客様は「試していい」と感じます。

なお、日数は長すぎても短すぎても困ります。
むしろ、自社の商品が一番伝わる長さを選びます。

手順3 早すぎる判断を止める日数を置く

ここで、私がいちばん唸った条件をお伝えします。
それが、最初の14日の扱いです。

商品到着から14日以上120日以内であれば返品・全額返金を承ります。
出典:NELL公式サイト「120日間フリートライアル」

つまり、最初の14日は返品を受け付けていません。
しかも、返せる期間そのものは長く取っています。

なお、14日の理由は公式サイトに書かれていません。
ですから、ここからは私の読み方です。

実は、新しい寝具には慣れるまでの違和感があります。
そこで、初日の違和感で手放されないようにします。

手順4 返せる理由を、体験に絞る

さらに、返品の対象も絞られていました。
実際、体験に関係のない理由は対象外です。

サイズを間違えた / 色味が想定と違った等、寝心地に関係のない理由での返品対応はできかねます
出典:同サイト

一方で、返品送料は無料で全額返金です。
つまり、約束の範囲を体験に絞っています。

その結果、確かめる中身がはっきりします。
すなわち、確かめるのは寝心地だけです。

また、対象外の理由を先に書いておくことも大切です。
実際、あとから断るより納得していただけます。

手順5 お試し期間の途中に、連絡を1通置く

最後に、ここからは私からのご提案です。
なお、期間中の連絡は資料に記載がありません。

ところが、お試し期間には大きな敵がいます。
それは、お客様が一人で迷うことです。

そこで、期間の途中に1通だけ連絡を置きます。
たとえば、「3日目は合わない方もいます」です。

ただし、日数は自社の実績で書き換えてください。
実際、この1通でお客様は一人で迷わずに済みます。

さらに、2通目以降は反応を見てから決めます。
つまり、最初から多く送りすぎないことです。

小さな会社のお試し期間で、よくある3つの迷い

まず、「長くすると返品が増える」という迷いです。
しかし、手順3と手順4をセットにすれば防げます。

次に、「返金は現実的ではない」という迷いです。
実は、感想を聞く期間を決めるだけでも足ります。

さらに、「最低日数は不親切」という迷いです。
むしろ、理由を添えれば誠実に伝わります。

つまり、どの迷いも設計の順番で解けます。
だからこそ、長さより先に理由を決めてください。

100日ファン化計画で見る、お試し期間

ここで、私が大切にしている考え方をお伝えします。
それが、100日ファン化計画です。

すなわち、購入から100日でファンに変える設計です。
実は、120日のお試し期間はその100日と重なります。

ですから、お試し期間の設計は買った後の設計です。
その結果、ここでファンになるかが分かれます。

たとえば、最初の14日は慣れるための時間です。
そして、残りの日数は良さを確かめる時間になります。

数字と条件で見る、今回のお試し期間

まず、販売開始は2020年10月でした。
次に、2025年12月時点で累計22万台です。

さらに、お試し期間は到着日から120日間です。
また、返品と全額返金は14日以上120日以内です。

なお、返品送料は無料と明記されています。
もっとも、返品率は記載がありません。

返せる安心の直線から、慣れるまで伴走する同心円へ

ここまでの5手順は、1つの順番にまとまります。
すなわち、決めるまでの時間を先に設計することです。

返せる安心だけを渡して待つ。これが直線です。
慣れるまで伴走し、次へ運ぶ。これが同心円です。

なお、以前は返品の受け方を扱いました。
あわせて、返品を二度目の入口にする設計もご覧ください。

まとめ|お試し期間から始まる100日

最後に、明日やることを3つに絞ります。
まず、お試し期間の日数を理由つきで決めます。

次に、早すぎる判断を止める日数を置きます。
そして、期間の途中に連絡を1通だけ置きます。

つまり、お試し期間は返せる期間ではありません。
むしろ、お客様が決めるまでの時間です。

1人の熱中が、100人の推し活を生む。
今日は、自社商品の良さに気づく日数を書いてみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。