一度採った数字が、二度目の注文を軽くする5手順

顧客カルテとは|昨対133%の会社が、初回にわざと手間をかける理由

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

顧客カルテとは、初回に教えていただいた情報を残しておく台帳です。
二度目の買い物を軽くするために使います。

まず、オーダースーツの話から始めます。
面倒な買い物の代表格です。

ところが、その面倒な商売をしている会社が最高の売上を出しました。
しかも、伸びたのは店舗のほうでした。

実は、理由は面倒さそのものにあります。
そこで今日は、顧客カルテの作り方を5つの手順で解説します。

顧客カルテとは何か。いま何が起きているのか

顧客カルテとは、お客様一人ひとりの情報を保管する台帳です。
そして、二度目の接点でこちらから差し出すために使います。

たとえば、美容室のカルテを思い浮かべてください。
前回の長さ、前回の薬剤、前回の会話が残っています。

一方、残っていないお店もあります。
その差は、二度目に椅子に座った瞬間に出ます。

さて、オーダーメイドの「KASHIYAMA」の話です。
運営は、株式会社オンワードパーソナルスタイルです。

同社は2026年4月23日に決算を発表しました。
2025年度の売上高は82億円、昨対比133%でした。

しかも、2年連続の二桁増です。
設立以来、最高の売上高を記録しました。

手順1 初回に聞く項目を、3つだけ決める

まず、何を聞けば二度目が軽くなるかを決めます。
大切なのは、たくさん聞かないことです。

たとえば、サイズ、好み、使う場面。
この3つで十分です。

判断の基準は1つだけです。
二度目のとき、お客様が答えなくて済むか。

つまり、答えなくて済む項目だけを聞きます。
それ以外は、いま聞かなくてかまいません。

手順2 聞いた内容を、顧客カルテの欄に書き戻す

次に、聞いた内容の置き場所を決めます。
ここでほとんどの会社が失敗します。

実際、接客メモは残っています。
ところが、名簿には戻っていません。

そこで、自由記述のメモをやめます。
顧客カルテの「欄」にしてください。

なぜなら、欄になっていない情報は検索できないからです。
検索できない情報は、二度目には出てきません。

手順3 二度目は、こちらから差し出す

そのうえで、二度目の接点で先に差し出します。
「前回はこちらのサイズでした」と伝えます。

ただし、お客様に思い出させてはいけません。
思い出す作業は、それ自体が手間だからです。

実は、この会社はそこを引き受けています。
2026年9月4日の日本ネット経済新聞が伝えました。

店舗で計測したサイズを、オンラインで共有できます。
関口猛社長は、こう話しています。

「素材違いや色違いの買い足しがしやすく、初回採寸後の追加購入がスムーズになっている」
(出典:日本ネット経済新聞/2026年9月4日)

手順4 買っていない日の行動も、顧客カルテに足す

さらに、購入日以外の情報も足していきます。
問い合わせ、来店だけの日、メールを開いた日です。

しかし、多くの会社は購入履歴だけで作ります。
その結果、関係が購入日にしか記録されません。

一方、関係は購入していない日にも進んでいます。
だから、顧客カルテは購入履歴より広く取ります。

手順5 二度目までの手間を、100日で測る

最後に、測る窓を決めます。
見るのは売上ではありません。

つまり、二度目の注文でお客様が答えた項目の数です。
初回に10項目、二度目に7項目なら機能していません。

そのうえで、7を3にします。
そして、3を0に近づけていきます。

なお、区切りは100日で取ります。
100日ファン化計画と同じ物差しです。

数字で見る、顧客カルテのいま

まず、伸びた場所が意外でした。
リアル店舗売上高が昨対比146%です。

次に、新規顧客数です。
昨対比154%まで伸びました。

しかも、新規女性顧客数は昨対比142%です。
男性新規顧客数は昨対比128%でした。

さらに、10代の新規顧客数は前年の約3倍です。
20代も昨対比136%で伸びています。
以上すべて出典:株式会社オンワードパーソナルスタイル プレスリリース/2026年4月23日

一方、店舗網も広がりました。
2026年9月4日時点で100店舗に達しています。

そして、女性客は全体の約3割を占めます。
(出典:日本ネット経済新聞/2026年9月4日)

なお、出店先の考え方も変わりました。
2025年9月22日、新業態「カシヤマ」が始まっています。

この発表の時点では、全国66店舗でした。
ライフスタイル一体型を掲げた業態です。
出典:オンワードホールディングス ニュースリリース/2025年9月22日

「集めて売る」の集めるは、人だけではありません

私はいつも「集めて売る」と申し上げています。
ただし、集める対象は人だけではありません。

つまり、人と、その人だけの数字を集めます。
採寸データは、その最も素朴な形です。

実は、拙著でも同じ順番を書きました。
『売ってから、つくる!ミニマム通販バイブル』です。

先につくって売るのではありません。
先に相手を確かめてから、用意します。

そのうえで、直線と同心円を分けて考えます。
集めて売って終わるのが直線です。

一方、名簿に入れて100日通うのが同心円です。
顧客カルテは、その中心に置く1枚です。

まとめ|顧客カルテの次にくる100日

まず、初回を軽くしようとする会社はたくさんあります。
ワンクリック、入力不要、会員登録なしです。

もちろん、それが正しい商材もあります。
ところが、副作用があります。

つまり、初回を軽くしすぎた会社は二度目も軽いままです。
誰だったか分からないまま、また新規と数え直します。

そこで、一度だけ丁寧に面倒をかけていただきます。
その代わり、二度目からは一生軽くします。

実際、昨対133%の会社がやっているのはそれだけです。
今日は、二度目の注文で毎回聞いている質問を1つだけ書き出してみてください。

集めて売って終わる直線ではありません。
名簿に入れて100日通う同心円へ変わります。

1人の熱中が、100人の推し活を生む。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。