Gapが2ブランドを1枚の会員証にした日。顧客リストの一元化を進める5手順

顧客リストの一元化とは|Gapが2ブランドを1枚の会員証にした日

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

顧客リストの一元化は、集めて売るための前提条件です。
ところが、この土台が崩れている会社は少なくありません。

まず、自社の窓口を思い出してください。
自社EC、楽天、Amazon、LINE、実店舗と並びます。

つまり、窓口が増えるたびに名簿は割れていきます。
そして、同じお客様が何度も新規として数え直されます。

実は、その数え直しが100日ファン化計画を止めています。
なぜなら、関係の起点が毎回リセットされるからです。

そこで今日は、2026年8月に起きた出来事を入口にします。
さらに、小さな会社が明日からできる5手順に翻訳します。

顧客リストの一元化とは何か、いま何が起きているのか

顧客リストの一元化とは、割れた名簿を1つの台帳に戻す設計です。
つまり、同じ人を1人として数え直せる状態にすることです。

実際、大手でこの作業が進んでいます。
2026年8月26日、ギャップジャパンが会員制度を刷新しました。

対象は、Gapとバナナ・リパブリックの2ブランドです。
そして、掲げた言葉が設計図そのものでした。

「One Membership. Two Brands.」です。
つまり、会員証は1枚でブランドは2つという設計です。

さらに、どちらで買ってもポイントは同じ財布に入ります。
なお、ランクの階段も1本にまとまりました。

年間利用額に応じた4段階の会員ランク制度です。
ちなみに、業界メディアは付与率を報じています。

Regularが1%で、Silverが2%です。
そして、Goldが4%で、Platinumが6%です。

ただし、この設計の本体は還元率ではありません。
むしろ、2つの名簿を1つに戻したことが本体です。

手順1 名簿の置き場を、指で数える

まず、システムの導入から入らないでください。
最初にやるのは、名簿がいくつあるかを数える作業です。

たとえば、自社ECのカートがあります。
そして、楽天の受注データとAmazonの購入者が続きます。

さらに、LINEの友だちとメルマガのリストが並びます。
加えて、名刺の束と店舗のスタンプカードも名簿です。

実際に数えると、多くの会社で5つから8つ出てきます。
しかも、そのすべてに同じお客様が重複しています。

つまり、数えるだけで問題が目に見えます。
なぜなら、見えていないものは直せないからです。

手順2 母屋を1つだけ決める

次に、どこを母屋にするかを1つ決めます。
母屋とは、最後に全員が集まる場所のことです。

たとえば、カートでもメール配信システムでも構いません。
あるいは、LINE公式アカウントでも成立します。

ただし、条件が1つあります。
自社が所有していて、明日も引き出せる場所であることです。

したがって、モールのアカウントは母屋になりません。
なぜなら、規約が変われば連絡手段ごと消えるからです。

そのうえで、他の名簿は入口と位置づけます。
入口が多くて母屋が1つ、という形が土台になります。

手順3 同じ人を、1人に戻す

そして、重複を1人に戻していきます。
名寄せの鍵は、メールアドレスか電話番号です。

もっとも、両方あるならメールアドレスを主キーにします。
理由は単純で、変更の頻度が低いからです。

実は、作業は表計算ソフトで始められます。
全名簿を1枚に縦積みし、重複行に同じIDを振るだけです。

その結果、実人数は必ず名簿の合計より少なくなります。
そして、その差の分だけ新規獲得の費用をかけていました。

要するに、関係のある方を口説き直していたわけです。
だから、実人数を先に知る必要があります。

手順4 買っていない日の行動も、記録する

さらに、台帳には購入履歴だけを入れないでください。
日本の新制度には、こんな設計が入っています。

つまり、買い物以外でもポイントが貯まります。
アプリのダウンロード、LINE連携、メールニュースの購読です。

これは、ポイントの大盤振る舞いではありません。
むしろ、関係の温度を購入日以外でも測る設計です。

なお、小さな会社ならシステムは要りません。
台帳に3列を足すだけで足ります。

具体的には、登録日と開封の有無と参加履歴の3列です。
その3列があれば、離れかけている方が見えます。

手順5 小さく早く使ってもらう

最後に、回転の速さを設計します。
Gap Inc.は、統合と同時に交換の単位を変えました。

つまり、旧制度の500ポイント刻みをやめています。
そして、100ポイント刻みで交換できるようにしました。

5分の1の単位です。
しかし、この変更の意味は小さくありません。

なぜなら、貯めきるまで使えない設計は関係を止めるからです。
逆に、小さく早く使える設計は戻る理由をつくります。

したがって、100日以内に一度使える特典を用意します。
ただし、金額は大きくなくて構いません。

数字で見る、顧客リストの一元化のいま

まず、日本の動きを並べます。
刷新日は2026年8月26日で、統合したブランドは2つです。

次に、ランクは年間利用額に応じた4段階です。
そして、付与率は1%から6%と報じられています。

一方、米国では2021年7月22日に4ブランドを統合しました。
標語は「One Membership. Four Brands.」です。

さらに、統合前後の会員増が公表されています。
12か月足らずで1,900万人以上が新規登録しました。

その結果、会員の総数は3,700万人を超えています。
つまり、器を1つにしたあとで集まる速度が変わりました。

顧客リストの一元化が、直線ファネルを同心円に変える

まず、直線ファネルを確認します。
広告で集めて、買ってもらって、終わる形です。

実は、直線ファネルは名簿が割れていても回ります。
なぜなら、毎回ゼロから集め直す前提だからです。

ところが、集める費用は年々上がっています。
つまり、同じ人への広告費が利益を削っていきます。

一方、同心円ファネルは逆の設計です。
中心に1つの名簿があり、そこから輪が外へ広がります。

そして、中心が2つある同心円は描けません。
だから、顧客リストの一元化が先に来ます。

まとめ|顧客リストの一元化の次にくる100日

ここまでを、5つに畳みます。
まず、名簿の置き場を指で数えます。

次に、自社が所有する母屋を1つ決めます。
そして、メールアドレスで同じ人を1人に戻します。

さらに、買っていない日の行動を3列だけ記録します。
最後に、100日以内に一度使える小さな特典を置きます。

もっとも、今日できるのは1つ目だけで構いません。
それだけで、来月の打ち手が変わります。

集めて売って終わる直線ではありません。
名簿に入れて100日通う同心円へ変わります。

1人の熱中が、100人の推し活を生む。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。