アフターサービスとは、売った後にお客様と再会する入口です。
この記事では、修理を「入院」と呼ぶカシオの事例をもとに、
呼び名を変えるだけでリピートが変わる理由と、5つの実践手順を解説します。
通販プロデューサー西村公児のビジョン
発信することで、小さな会社でも
なる製品の販売を超えて
商品に社長の「らしさ」・「生き様」を
投影して、人の心に刺さるメッセージを
小売業の変革を通販で実現する、
をビジョンに掲げ、
【共創価値を科学的にする】こと
を追い続けています。
あなたのビジョンと価値提供を
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あなたの売上を最大化しながら世の中をよりよく照らし、
お客さまと共に共創しながら、
「売れないを売れるに変身させる」をテーマに
通販プロデュース業と通販専門のコンサルティング業
をメインに支援活動しています。
From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
2026年8月24日の午前、霞が関でひとつの会議が開かれました。
消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の第8回です。
この日、中間取りまとめの案が示されました。
通販の売り方に、直接かかわる中身でした。
ニュースの見出しは「ダークパターン規制へ」というものです。
ただ、見出しだけでは現場は動きません。
この記事では、案の原文を実務の言葉に置き換えます。
明日の朝、社内で回せる5つの確認に落とし込みます。
そもそも、何が公表されたのか
公表されたのは、法律ではありません。
検討会が示した「中間取りまとめ(案)」という資料です。
検討会の第1回は、令和8年1月22日に開かれています。
今回の第8回まで、8回にわたって議論が重ねられました。
第8回は令和8年8月24日の9時から12時まででした。
場所は中央合同庁舎第4号館です。
案の結びには、こう書かれています。
実務的・法技術的な観点から更なる検討を行うべきである、と。
つまり、施行日はまだ決まっていません。
けれども、向かう方向は、はっきりしました。
確認1|そのページの数字は、いま本当ですか
案が名指しした表示の中心は、ここです。
▍口コミ、利用状況、在庫情報、タイムセール等の商品の性能や内容に関連する情報であって、その内容が虚偽である表示・UIについても、誤認を招く表示として規律の対象とすべきである
── 出典:消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会 中間取りまとめ(案)」資料2-1・9ページ(2026/8/24)
大事なのは「その内容が虚偽である」という条件です。
セールやカウントダウンそのものを禁じる話ではありません。
事実であれば、何も問題は起きません。
問題になるのは、事実でないのに置いてある場合です。
私が現場で何度も見てきたのは、こういう状態でした。
作った当時は本当だった数字が、何年も動いていないのです。
残り在庫の数。
いま見ている人数。
締め切りまでの秒読み。
「◯人が購入しました」という表示。
これらを紙に書き出してください。
そして1つずつ「これはいま本当ですか」と問います。
根拠のデータを出せるものは、残して構いません。
出せないものは、今日のうちに外してください。
確認2|取引条件は、ひと目で読み取れますか
案は、契約の核心的な要素をこう挙げています。
支払金額、分量、契約期間などです。
これらについて、こう書かれています。
一般的な消費者が通常の注意をもって見た場合が基準になります。
その内容を正確かつ容易に認識できない表示は対象になります。
虚偽だけでなく、不明瞭な表示も含まれます。
現状の課題として、案はこう述べています。
▍「お試し」等の表示により一回限りの購入であるかのような印象を与えながら、実際には定期購入であることが条件とされている場合など、取引条件について消費者に誤認を生じさせ、契約締結に至らせる手法が、インターネット取引を中心に増加傾向にある
── 出典:同案8ページ
自社のLPを、初めて見る人の目で開いてください。
定期の条件は、価格と同じ大きさで書かれていますか。
総額はどこに書いてありますか。
何回目から解約できるのか、すぐに見つかりますか。
案では、最終確認画面の表示義務の拡張にも触れています。
支払総額の表示や、取引条件の分離表示の禁止などです。
確認3|「本当によろしいですか」を何度出していますか
3つ目は、多くの方が見落としている項目です。
▍契約の申込みに関し、操作の反復又は威迫的な文言等を用いて、消費者に迷惑を覚えさせ、又は不安を生じさせるような仕方によって、消費者に契約の申込み・締結をさせようとする表示・UI
── 出典:同案9ページ
案は、これを「攻撃的な表示」と呼んでいます。
引き止めのポップアップを三度出す、あの体験のことです。
案には、検討会での指摘も脚注で残されていました。
確認や後押しそのものは、通常の営業活動としてあり得る、と。
ですから、単なる反復がすべて悪いのではありません。
迷惑や不安を生じさせる仕方かどうかが、分かれ目になります。
確認4|出口は、入口と同じ手数で歩けますか
解約の場面についても、案は明確に書いています。
解約手続を不当に遅延させる行為が挙がりました。
さらに、こう続きます。
契約手続に比べて合理的理由なく過度に複雑な解約手続です。
これらを違法行為として規律の対象とすべきだ、としています。
出典は同案の12ページです。
入口を簡単にして、出口を難しくする。
その設計そのものが、論点になったということです。
ご自分のスマートフォンで、実際に歩いてみてください。
申込みが3クリックなら、解約も3クリックで着きますか。
出口を簡単にすると解約が増える、と心配される方がいます。
私の経験では、増えるのは解約ではありませんでした。
増えるのは「安心して始める人」のほうです。
辞めやすさは、始めやすさの一部だからです。
確認5|注文完了メールは、書類ですか、手紙ですか
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
報道の多くは「何が禁止されるか」を伝えました。
けれども同じ案には、禁止ではない一文が入っています。
▍契約内容を記載した電子書面等を、注文完了後遅滞なく、電子メール等により消費者に交付することを義務付けるべきである
── 出典:同案11〜12ページ
注文が終わったら、必ず1通送りなさい、ということです。
事業者から見れば、実務が一段階ふえる話に見えます。
私には、まったく逆に見えました。
制度が整えば、買った直後に必ず届く1通が生まれます。
開封率がいちばん高くなる瞬間の、確実な接点です。
しかも送らない自由がないので、競合も全員が送ります。
そのとき、差がつく場所はひとつしかありません。
その1通を、事務連絡で終えるのか、関係の1通目にするのか。
私が「100日ファン化計画」と呼ぶ設計は、ここから始まります。
買った瞬間、お客様の熱はいちばん高くなっているからです。
多くの会社で、あの1通は初期設定のままです。
注文番号と金額と住所だけが並んでいます。
それは書類です。
書類にするか、手紙にするかは、こちらで決められます。
急がせない花屋が、10年のお客様を持っている
急がせる仕掛けを持たずに、長く選ばれている会社があります。
東京・世田谷でギフトの花を扱う、ウーツェです。
同社はギフトやウェディング、ワークショップを手がけています。
店舗は世田谷区世田谷2-28-22にあります。
売った後の設計が、独特でした。
▍出荷前に花の写真を送付し、使用した花の名前と、贈り主・贈り先の情報を記載した案内を同梱する
── 出典:日本ネット経済新聞「フラワーギフトのウーツェ、独自の世界観と誠実な対応で成長」(2026/8/23)
さらに、過去の発送記録を管理しているそうです。
同じお客様に、同じ花が重ならないようにするためです。
同紙によれば、10年近く続くリピーターがいらっしゃいます。
急がせる仕掛けは、ひとつも登場しません。
花のギフトは、贈った側が現物を見られません。
届いたかどうかも、どんな花だったかも分からないのです。
その不安がいちばん大きい瞬間に、写真が届く。
煽るのではなく、安心させているということです。
同紙は、同社代表の言葉をこう伝えていました。
▍自分たちの世界観を維持し続けることは、顧客を裏切らないことにつながる
── 出典:同上
売上拡大を第一の目標には置かない。
その代わりに、裏切らない。
10年という時間は、その結果として出てきたものです。
小さな会社にとって、これは追い風です
規制が強まると、小さな会社が不利になると思われがちです。
私は、逆だと考えています。
煽りの技術は、資本と流入がある側ほど強く効きます。
それが使えなくなれば、勝負の場所が移ります。
移った先は、売った後をどれだけ丁寧に設計したかです。
そこは、資本の大きさではあまり差がつきません。
検討会も、基本的視点でこう述べています。
健全な取引の利便性は最大限に確保する、と。
そのうえで、悪質な取引に焦点を当てて強化する方針です。
出典は同案の3ページになります。
つまり、誠実に売ってきた会社を狙う話ではありません。
今日、1通だけ送ってみてください
最後に、今日やっていただきたいことをひとつだけ。
ご自分の会社の注文完了メールを、ご自分宛に送ってください。
お客様として、スマートフォンで開いてみてください。
「ご注文ありがとうございました」の下に、何がありますか。
そこに1行だけ足すとしたら、何を書きますか。
いつ届くのか。
どう使い始めるのか。
誰が作っているのか。
どれでも構いません。
売り込みだけは、入れないでください。
1行目は、次の販売機会ではないからです。
煽って売り切る直線から、届いた後に輪が広がる同心円へ。
法律は、直線のほうを細くしにいきました。
だとすれば、私たちは同心円を太くするだけです。
1人の熱中が、100人の推し活を生む。
西村公児の活動・メディア掲載
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(本記事の事実関係は、カシオ計算機株式会社のニュースリリース(2026年7月24日)で確認しています。2026年8月23日時点)
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