値上げ常態化の今、小さな通販が適正価格でLTVを守る価値の伝え方

値上げ常態化の今、小さな通販が適正価格でLTVを守る価値の伝え方

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

脱・値下げ競争は、値上げが常態化した2026年の通販に欠かせない発想です。
原材料高・人件費・物流費が粗利を削るなか、適正価格と価値の伝え方でファンを集めて売る。
客離れを防ぐ告知と購入後フォローの手順を、帝国データバンクの一次データで解説します。

「ライバルが安いから、うちも下げるしかない」。
その判断が、いちばん危険な時代に入りました。

値上げが常態化し、原価が下がる前提が崩れたいま、
値下げは粗利を削るだけの消耗戦になります。

この記事では、小さな通販が脱・値下げ競争へ舵を切り、
適正価格でLTVを守る具体手順を、一次データとともにお伝えします。

値上げ品目は「過去2年ぶりの2万品目超え」

最初に、地図を正確に描きましょう。いま、値上げはどの規模で起きているのでしょうか。

2025年の飲食料品値上げは、合計2万609品目。前年(1万2520品目)から64.6%増と大幅に増加し、2023年以来2年ぶりに2万品目を超えました。

月間1千品目を超える水準が常態化し、コストプッシュ型の一時的な物価高から、持続的な物価上昇へと転じた兆候がみられました。

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2025年通年/2026年見通し」(2025/12/26)/ https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251226-neage25y12/

この「常態化」という一語が、戦略の前提を変えます。
嵐が過ぎるのを待つ姿勢では、原価上昇に呑まれます。

待つのではなく、価格と伝え方の設計を変える。
それが、脱・値下げ競争の第一歩です。

コスト増の主役が「外圧」から「内圧」へ変わった

なぜ、いま値下げで戦えないのか。
値上げの「理由の中身」を見ると、構造の変化がはっきり見えます。

2026年の値上げ要因は「原材料高」99.9%、「包装・資材」81.3%、「人件費」66.0%、「物流費」61.8%。いずれも過去最高水準に達しました。

対して「円安」由来の値上げは1.6%にとどまり、過去最低水準でした。

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2025年通年/2026年見通し」(2025/12/26)/ https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251226-neage25y12/

ここが、今日いちばんお伝えしたい論点です。
円安という「外圧」は、相場が戻れば和らぐ可能性があります。

しかし人件費・物流費という「内圧」は、構造的で戻りません。
最低賃金の引き上げも、ドライバーの労働規制も、逆回転しません。

つまり、原価はこれからも上がり続ける前提で経営する必要があるのです。
その前提に立てば、値下げで集客し続ける戦略は、自分の首を絞めます。

2026年も「粘着質な値上げ」は続く見通し

「来年こそ落ち着くのでは」と期待したくなります。
しかし、見通しはそれほど甘くありません。

2026年の1回あたり値上げ率は平均14%となり、2025年(15%)と同等かやや下回る水準と見込まれます。値上げ品目数は現状のペースが続けば、2026年通年で年1万5千品目前後に到達する可能性があります。

円安など外圧による値上げから、国内要因の内圧による持続的な物価高へとシフトしており、粘着質な値上げトレンドの継続が見込まれます。

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2025年通年/2026年見通し」(2025/12/26)/ https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251226-neage25y12/

「ラッシュ」から「常態化」へ。
派手さは消えても、じわじわと原価を押し上げる力は残ります。

だからこそ、いま価格の伝え方を整える事業者だけが、来年の値上げ局面を生き残ります。

消費者は「理由が伝われば」受け入れる

では、値上げは客離れに直結するのでしょうか。
データは、もう少し希望のある現実を示しています。

値上げ後に販売数量が低下する動きや、PB品など廉価品への購買意欲が高まる動きがみられた一方で、人件費などを背景とした値上げ理由への理解が進み、従前よりコスト増加分を販売価格に転嫁しやすい環境となったとみられます。

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2025年通年/2026年見通し」(2025/12/26)/ https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251226-neage25y12/

つまり、勝敗を分けるのは価格そのものではありません。
「なぜ、その価格なのか」を語れているかどうかです。

理由を伝えないブランドだけが、値上げで顧客を失います。
逆に、素材・つくり手・体験という価値の文脈を語れるブランドは、適正価格でも選ばれます。

そして、語る前に「先に集めておく」こと。
世界観でファンを集め、関係を育ててから売る。

私が「集めて売る」と呼ぶ設計は、まさにこの順番のことです。

今日から動ける一手

机上論で終わらせないために、小さな実装手順を3つに絞ります。

第一に、主力商品の「値上げ理由ページ」を1枚作ること。
原材料・人件費・物流費のどれが、どう上がったのか。
数字でなく、つくり手の言葉で十分です。

第二に、その理由を購入後のサンクスメールに1段落だけ差し込むこと。
買ってくれた人にこそ、価格の背景を伝えます。

第三に、値上げ告知は実施の3週間前に予告すること。
突然ではなく、予告から入ることで、不信を信頼へ変えられます。
この3手は、広告費ゼロで、明日から動かせます。

まとめ

値上げが常態化し、原価が戻らない時代。
勝負は「いくらで売るか」から「どう価値を伝えてから売るか」へ移りました。

値下げで集めた人は、もっと安い場所へ去ります。
価値で集めた人は、あなたのファンとして残ります。
脱・値下げ競争の第一歩は、今日の値上げ理由ページ1枚から始まります。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。