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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
送料が、また上がります。しかも今回は、一度きりの値上げではありません。
「配送コスト第2波」と呼ばれる、構造的な上昇局面です。
この記事では、送料値上げを耐えるのではなく、
「集めて売る」設計で利益を守る考え方を、一次情報をもとに整理します。
配送コスト第2波の現状|第1波と何が違うのか
最初に、流れを押さえましょう。2023年に「第1波」がありました。
佐川急便は平均8%、ヤマト運輸は同10%の値上げを表明しており、個別契約となる大口の通販企業へもそれぞれ同程度の引き上げを求めていくと見られる。
出典:ネットショップ担当者フォーラム(通販新聞ダイジェスト)「【送料値上げの背景】ヤマト運輸と佐川急便が運賃引き上げ、日本郵便も値上げの可能性」(2023年2月)/ https://netshop.impress.co.jp/node/10672
当時の主因は、燃料高騰・労務費上昇・そして2024年問題への備えでした。
そして2026年、「第2波」が本格化しています。
2026年は「配送コスト第2波」の本格化となります。ヤマト運輸は2025年10月に宅急便の運賃を改定済みです。佐川急便も運賃改定を進めており、法人取引を中心に料金の見直しが広がっています。
出典:STOCKCREW「日本郵便赤字転落とEC配送コスト第2波【2026年版】」(2026年6月15日更新)/ https://stockcrew.co.jp/insights/japan-post-deficit-ec-logistics-wave2-2026
第1波が単発の値上げだったのに対し、第2波は構造に根ざしています。
ここを混同すると、対策の打ち方を間違えます。
なぜ第2波は避けにくいのか|インフラの構造問題
第2波が下がりにくい理由は、配送インフラ側の事情にあります。
郵便事業を担う日本郵便が8年ぶりの最終赤字に転落しました。郵便・物流事業の2024年度の営業損益は、なお383億円の営業赤字にとどまっています。
出典:STOCKCREW「日本郵便赤字転落とEC配送コスト第2波【2026年版】」(2026年6月15日更新)/ https://stockcrew.co.jp/insights/japan-post-deficit-ec-logistics-wave2-2026
さらに、運ぶ力そのものが細っています。
何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性。
出典:国土交通省「我が国の物流の2024年問題」(STOCKCREW記事内で引用)/ https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_tk1_000274.html
運ぶ力が減り、運ぶコストが上がる。だから第2波は、根が深いのです。
送料転嫁の限界|利益率は静かに削られる
ここで多くの通販がとる対応が「送料転嫁」です。
しかし、転嫁には限界があります。
配送料が上がるほど、買い物かごからの離脱率は上がります。
そして転嫁できない場合、利益が直接削られます。
粗利率30%・平均商品単価2,000円のショップで、配送コストが1件あたり100円上昇すると、利益率は5ポイント低下します。月間1,000件出荷なら年間120万円の利益減です。
出典:STOCKCREW「日本郵便赤字転落とEC配送コスト第2波【2026年版】」(2026年6月15日更新)/ https://stockcrew.co.jp/insights/japan-post-deficit-ec-logistics-wave2-2026
月商300万円以上の事業者では、配送コストが売上原価の10〜15%を占める主要コストになっています。
ここで戦うべき相手は、宅配会社ではありません。
「送料無料で広く薄く集める」という、自分たちの古い設計です。
解決の方向性|コストを守り、LTVを積む
打ち手は、大きく2つです。1つ目は、コスト構造を守ること。
「複数キャリア化」と「送料改定の最適化」は最優先です。ヤマトや佐川を主体としつつ、日本郵便やAmazonロジスティクスなども組み合わせるハイブリッド戦略が主流になっています。
出典:STOCKCREW「日本郵便赤字転落とEC配送コスト第2波【2026年版】」(2026年6月15日更新)/ https://stockcrew.co.jp/insights/japan-post-deficit-ec-logistics-wave2-2026
2つ目は、1人あたりの利益=LTVを積むこと。
ここが「集めて売る」の核心です。
送料が上がるほど、「1回売り切り」のビジネスは不利になります。
逆に、同じお客様に2回・3回と買っていただければ、1回あたりの配送負担は軽くなります。
拙著『伝説の通販バイブル』でも、安く広く集めることより、
集めたお客様と関係を積んで売り続けることを主題に置いています。
送料高騰の局面では、この順番がそのまま利益を守ります。
今日から動ける一手|送料を利益設計に組み込む
最後に、具体的な一手です。
第一に、送料無料ラインを「客単価を1段上げる水準」に置き直すこと。
第二に、同梱物で2回目購入のきっかけを仕込み、1回の配送で次の来店を呼ぶこと。
第三に、サイズと地域で最適なキャリアを選べる体制に近づけること。
制度面でも、2026年4月から改正物流効率化法が施行され、配送データの可視化が重要になっています。
2026年4月、改正物流効率化法に基づく特定事業者の義務が施行されます。特定荷主に指定されるのは、前年度の取扱貨物の重量が9万トン以上の発荷主・着荷主です。
出典:STOCKCREW「日本郵便赤字転落とEC配送コスト第2波【2026年版】」(2026年6月15日更新)/ https://stockcrew.co.jp/insights/japan-post-deficit-ec-logistics-wave2-2026
まとめ|第2波は「集めて売る」への転換点
配送コスト第2波は逆風です。
しかし、コストを守りながらLTVを積む経営に切り替えれば、競争力に変わります。
送料が上がるほど、関係でリピートを生む事業が相対的に強くなるからです。
関連記事として、当ブログの
「同梱物で次の購入を設計する」
「会員ランクでLTVを伸ばす」もあわせてご覧ください。
送料は「払うもの」から「設計するもの」へ。
その転換が、第2波を活かす分かれ目になります。
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