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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
バズワードに踊らされないEC戦略とは、流行りの施策より自社の顧客価値を優先する選択と集中の考え方です。
急成長D2CのCotopaxiがオムニチャネル投資を見送った実例をもとに、
運用負荷の見極め方と撤退の設計を、通販・D2C事業者向けに具体的に解説します。
「まわりがやっているから、うちもやらないと」。
その一言から始まる投資が、いつの間にか現場を圧迫していないでしょうか。
本記事では「選択と集中」を軸に、流行りの施策との正しい距離を整理します。
施策が増えるほど、現場は静かに疲れていく
EC運営の現場は、いま施策の洪水のなかにあります。
やるべきこととして挙がる打ち手は、毎年のように増え続けています。
一つひとつが正しく見えるため、断る理由が見つかりにくいのです。
結果として、人と時間は薄く広く分散していきます。
急成長したD2Cブランドですら、同じ壁の前に立っていました。
アウトドアブランド「Cotopaxi」は、D2Cとして約12年前に誕生し、現在は20以上の拠点を運営しています。
長年、多様なオムニチャネル機能を試験的に運用してきましたが、最終的にはシステムや現場のオペレーションを大規模に変えてまで、それらの施策へ本格投資することは見送りました。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「バズワードに踊らされないEC戦略。急成長D2Cブランドがオムニチャネル投資を見送った決断の裏側」/ https://netshop.impress.co.jp/e/2026/07/09/16380
試したうえで、あえて見送る。この順番が、選択と集中の第一歩です。
見えない「運用負荷」が利益を削る
見送りの決め手は、施策の華やかさの裏にある運用負荷でした。
Cotopaxiの店舗は平均1200平方フィート(約33坪)と比較的小さいサイズです。
そのため、店内でフルフィルメント(配送業務)を回すための物理的なスペースがほとんどありませんでした。スペースの確保、スタッフの教育、システムの統合、そして在庫管理。
これらがもたらす現場の複雑さを天秤にかけた結果、「少なくとも現時点では、運用負荷に見合う価値はない」と判断したのです。出典:ネットショップ担当者フォーラム「バズワードに踊らされないEC戦略。急成長D2Cブランドがオムニチャネル投資を見送った決断の裏側」/ https://netshop.impress.co.jp/e/2026/07/09/16380
売上という表の数字だけを見ると、施策は魅力的に映ります。
しかし、裏で増える作業・教育・在庫管理は、損益計算書に遅れて効いてきます。
Cotopaxiは現在、すべての発送業務を物流センターに集約しました。
分散をやめ、強みが出る一点に戻したのです。
選択と集中は「勝ち筋を太くする」攻めの一手
選択と集中は、縮小ではありません。勝てる場所を見極め、そこへ資源を寄せる設計です。
Cotopaxiは、自社が最も価値を出せる動線を明確に持っていました。
卸売は急速に成長し、一時は総売上高の50%以上を占めるまでになりました。しかし現在は、より健全なバランスである25%〜30%程度に抑えています。大半はD2Cが占めています。
(モバイルアプリとイベント連動により)何万人もの人々に自然な形でブランドを知ってもらい、熱狂的なファンになってもらう素晴らしい動線を作ることができました。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「バズワードに踊らされないEC戦略。急成長D2Cブランドがオムニチャネル投資を見送った決断の裏側」/ https://netshop.impress.co.jp/e/2026/07/09/16380
卸売への傾きを戻し、D2Cとファン化の動線に集中し直す。
その判断の軸を、共同創業者はこう語ります。
何が本当にユーザーに価値をもたらし売り上げを牽引するのかと、業界でその時々に流行している「バズワード」とのバランスを測っているところです。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「バズワードに踊らされないEC戦略。急成長D2Cブランドがオムニチャネル投資を見送った決断の裏側」/ https://netshop.impress.co.jp/e/2026/07/09/16380
バズワードと顧客価値を、天秤にかけ続ける。この習慣が、ぶれない経営の土台になります。
今日から動ける「3つの箱」の仕分け
まず、いま走っている施策を3つの箱に仕分けてみてください。
1つ目は「顧客価値も売上も伸びている施策」。ここへ資源を寄せます。
2つ目は「売上は立つが運用負荷が重い施策」。縮小か撤退を検討します。
3つ目は「流行りで始めたが検証できていない施策」。ここは一度止めます。
Cotopaxiも、導入と撤退を繰り返しながら引き際を学んでいました。
しかし、BOPISを導入したからといって、その店舗単体の収益構造が劇的に好転するわけではありませんでした。(中略)このオペレーションの負荷は、リスクに見合うものではなかったというのが結論です。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「バズワードに踊らされないEC戦略。急成長D2Cブランドがオムニチャネル投資を見送った決断の裏側」/ https://netshop.impress.co.jp/e/2026/07/09/16380
「やめる基準」を先に決めておくと、撤退は失敗ではなく設計になります。
まとめ
施策を増やすほど、事業が強くなるとはかぎりません。
Cotopaxiが示すのは、「やらない」も立派な戦略だという事実です。
見込み客を集め、顧客に変え、ファンへ育てる。
その一本の動線に集中することが、遠回りに見えて最短の道になります。
まずは今週、走っている施策を3つの箱に仕分けてみてください。(関連記事)
「ミニマム通販とは|自社が勝てる一点に絞るEC設計」
「LTVを伸ばす顧客体験設計の基本」もあわせてご覧ください。
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