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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて
物価高で買い手の不安が強まるいま、通販の勝敗は品質保証と不安解消の設計で決まります。
メルカリが開始した品質保証付きリユースの第3の市場「m department」を分解し、
小さな通販が真似できる信頼設計のチェックリストまで、ファネル設計士が解説します。
「良い商品なのに、なぜか最後の一歩で買ってもらえない」。
通販の現場で、この悩みをよく伺います。
原因を価格に求めて値下げすると、利益だけが削れていきます。
実は買われない理由の多くは、価格ではなく不安です。
本記事では、メルカリの新事業を教材に不安解消の設計手順を解説します。
品質保証を武器に変えたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
物価高の消費者は「安さ」ではなく「失敗しない買い物」を探している
まず、順に見ていきます。
物価高の影響で、消費者の買い物は慎重になっています。
賢く買いたい気持ちの受け皿として、リユース品への関心も高まっています。
しかしメルカリの調査は、関心と行動のギャップを示しました。
物価高の影響によるリユース品購入の検討頻度について、「検討することが増えた」が6.4%、「検討することがやや増えた」が14.4%で合計20.8%、約5人に1人が「リユース品購入の検討頻度が増加した」と回答した。
直近1~2年間でリユース品を購入した頻度は、最多が「全く購入しない」で51.0%だった。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「物価高で約5人に1人がリユース品の購入を『検討する頻度が増えた』。約5割は、直近1~2年間でリユース品を購入していない【メルカリ調査】」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/15/16403
関心を持つ人が増えても、購入者は増えていません。
検討から購入への橋が、どこかで落ちているのです。
この橋の落ちている場所こそ、私たちが設計すべきポイントです。
購入を止めている「不安」の正体を分解する
橋が落ちている場所を、調査データはかなり具体的に教えてくれます。
「商品の汚れや衛生面が気になる」が最多で48.0%、続いて「故障や劣化などの品質に不安がある」が40.9%、「適正な価格かどうかわからない」が31.3%、「欲しい商品が見つかりにくい/見つからない」が24.1%、「偽物やコピー品ではないか不安」が22.4%だった。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「物価高で約5人に1人がリユース品の購入を『検討する頻度が増えた』。約5割は、直近1~2年間でリユース品を購入していない【メルカリ調査】」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/15/16403
上位の理由は「衛生」「品質」「価格の妥当性」「真贋」に整理できます。
どれも商品の良し悪しではなく、確かめられないことへの不安です。
さらに高額商品では、この不安が一段と強まります。
リユース品購入時に「不安を感じる」割合は、「高額ブランドのバッグ」が最も高く70.7%、続いて「高額ブランドの時計・ジュエリー」が70.1%、「スマートフォン・PC・タブレット」が69.9%だった。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「物価高で約5人に1人がリユース品の購入を『検討する頻度が増えた』。約5割は、直近1~2年間でリユース品を購入していない【メルカリ調査】」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/15/16403
単価が上がるほど、不安のハードルも上がるということです。
高価格帯へ挑戦したい通販ほど、不安解消の設計が必要になります。
メルカリ「m department」の設計を分解する
そのため、ここから具体的に確認します。
この構造に対するメルカリの回答が、2026年7月14日に発表されました。
メルカリは7月14日、プロが品質を保証するリユースサービス
「m department(エムデパートメント)」の提供を開始した。新品でも個人間取引の中古品でもない、品質保証付きリユース品を「第3の市場」と位置付け、サービス開始時点で88社の専門事業者が参画する。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「メルカリが開拓する新品・中古に続く“第3の市場”とは? プロが品質を保証するリユースサービス「m department」をスタート」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/15/16406
設計のポイントは3つあります。
1つ目は、出店者を審査済みの専門事業者に限定したことです。
2つ目は、検査・修理・クリーニング・真贋鑑定を通した商品だけを扱うことです。
3つ目は、保証を数字で約束したことです。
整備済み製品には商品発送後180日間の動作保証を付帯し、正常に動作しなくなった場合は修理または交換で対応する。返品は、スマートフォン、タブレット、ノートPCが商品発送後30日以内、カメラ・レンズが同7日以内、ブランド品が同10日以内としている。
出典:ネットショップ担当者フォーラム「メルカリが開拓する新品・中古に続く“第3の市場”とは? プロが品質を保証するリユースサービス「m department」をスタート」/ https://netshop.impress.co.jp/n/2026/07/15/16406
180日・30日・7日と、すべて数字で語られています。
不安は「たぶん大丈夫」では消えず、数字の約束で初めて消えるのです。
なお市場背景として、リユース経済新聞の調べでは国内リユース市場は
2024年に3兆2628億円に達したと同記事は伝えています。
不安を消した市場がどれだけ大きく育つか、注目に値します。
小さな通販のための信頼設計チェックリスト
メルカリの設計は、規模がなくても順番を真似できます。
私がコンサルティングの現場で使う確認項目を、5つに絞ってご紹介します。
1つ目、自社のキャンセル理由と問い合わせを「不安の種類」で分類できていますか。
2つ目、返品・交換の条件を数字で明記していますか。
3つ目、検品や製造の工程を写真や動画で見せていますか。
4つ目、第三者の証拠(レビュー・受賞・検査結果)を購入直前の画面に置いていますか。
5つ目、購入前の不安に答えるコンテンツを、メルマガやLINEで先に配っていますか。
5つのうち3つ以上できていれば、信頼設計の土台はあります。
できていない項目が、あなたのお店の「落ちた橋」です。
まとめ|値下げの前に、不安を1つ消す
さらに、もう一歩踏み込みます。
物価高の時代に選ばれるのは、最安の店ではありません。
失敗しない買い物をさせてくれる店です。
メルカリは品質保証を軸に、不安を消す市場を丸ごと作りました。
小さな通販は、まず自社の「買わない理由」の1位から消していきましょう。
値下げよりも先に、不安を1つ消す。
それが高くても選ばれる通販への、最短の一歩です。
関連記事として、購入後体験(ポストパーチェス)やレビュー活用の設計もあわせてお読みください。
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東洋経済オンライン掲載 記事
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