アパレルECのリバースロジスティクスと返品マーケティング設計

アパレルECのリバースロジスティクスと返品マーケティング設計

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From:通販プロデューサーの西村公児
自宅の仕事部屋にて

メタディスクリプション

返品をLTVに変えるには、リバースロジスティクスと返品マーケティングの設計が要です。
アパレルECのサイズ交換を再購入へ導く購入後オペレーションを、原典確認済みデータで解説します。
小さな通販でも今日から動ける返品体験設計の手順をファネル視点でまとめました。

通販の利益を、静かに削るものがあります。それが、設計されていない返品対応です。

返品は避けられません。だからこそ、設計次第で損にも得にもなります。
本記事では、返品をLTVに変える考え方を整理します。

返品対応が利益を左右する理由

返品には、2つの種類があります。不良品など事業者都合の返品と、お客様都合の返品です。

サイズ違いやイメージ違いは、後者にあたります。
このお客様都合の返品を、どう扱うかが分かれ目です。

日本では、その扱いに自由度があります。

日本には「事業者は消費者の返品に応じる義務がある」などの法律が存在していないため、事業者は買い物客の返品希望を了承する必要はなく、返品は事業者側によるサービスとなります。

出典:Recustomer「ECサイトの返品・交換データ調査レポート」公開(プレスリリース)/ https://recustomer.co/news/repot-investigating-returns-data

サービスである以上、設計の質が問われます。

ここに、ブランドの姿勢が表れます。
返品をぞんざいに扱うブランドは、その瞬間に見抜かれます。
逆に、手間を惜しまないブランドは記憶に残ります。

お客様が不安なときほど、対応の差は大きく感じられます。
ここで丁寧さを示せるかが、再購入の分岐点です。

返品対応は、ブランドの本性が出る場面なのです。

データが示す「交換へ導く」価値

返品データを見ると、打ち手が見えてきます。返金と交換、どちらが選ばれているかが鍵です。

靴業界の平均的な返品・交換率は8.87%という結果になりました。また、靴業界では返品リクエストを受け付けた後に返金を選択する買い物客は44.36%、交換を選択する買い物客は55.64%ということが分かりました。

出典:Recustomerの調査として/「ECサイトの返品・交換データ調査レポート」公開(プレスリリース)/ https://recustomer.co/news/repot-investigating-returns-data

返品希望の過半が、交換を選んでいます。

「商品はほしい、サイズだけ直したい」という心理です。
ここを交換へ導けば、売上はブランドに残ります。

返金で終わらせるのは、もったいないのです。考えてみてください。

交換なら、お客様との関係は続きます。返金なら、関係はそこで途切れます。

同じ返品でも、出口の設計で結果は正反対です。
だからこそ、交換動線を最初に見せることが重要です。
数字は、その判断を後押ししてくれます。

返品マーケティングという発想

返品を、販促に変えるブランドが増えています。返品・交換のしやすさを、強みとして打ち出すのです。

業界に関わらず、流通取引総額が10億円以上のブランドのうち52%が返品マーケティングを実施していることが分かりました。

出典:Recustomerの調査として/「ECサイトの返品・交換データ調査レポート」公開(プレスリリース)/ https://recustomer.co/news/repot-investigating-returns-data

売上規模の大きいブランドほど、返品を前向きに使っています。

返品を隠さず、安心材料に変えているのです。
オンラインの「サイズが不安」を、先回りで解消する発想です。

この不安解消が、購入のためらいを下げます。
返品マーケティングは、返品を増やす施策ではありません。

安心して買える状態を作る施策です。
結果として、買い控えが減り、交換で売上も残ります。

返品を恐れて情報を隠すほど、かえって不安は強まります。
開示と動線整備が、信頼への近道なのです。

今日から動けるリバースロジスティクス設計

まず、返品ページの設計から始めます。
「返金」より先に「サイズ交換」を見せてください。

順番を変えるだけで、交換が選ばれやすくなります。
次に、リバースロジスティクスを整えます。

返品がどこで発生しても、同じ手順で処理できる流れです。
これにより、物流負荷を抑えられます。

準備は3つです。

1つ目は、返品理由を3分類で記録すること。
2つ目は、サイズ起因の返品に交換動線を用意すること。
3つ目は、交換後に一言フォローを入れることです。

私は拙著『ミニマム通販バイブル』で、購入後体験を小さな通販の勝ち筋として整理してきました。
返品体験設計は、その実践版だと考えています。

返品設計でやりがちな誤解

返品設計には、よくある誤解があります。

1つ目は「返品率はゼロが理想」という思い込みです。
健全な返品は、信頼の裏返しでもあります。

2つ目は「返品対応は大企業のもの」という思い込みです。
文言と動線の工夫は、小さな通販でもできます。

3つ目は「返金で早く終わらせるのが親切」という思い込みです。
交換動線があれば、売上も関係も残せます。

たしかに、即返金は一見すると親切に映ります。
しかし、それは関係を早く終わらせる行為でもあります。

本当の親切は、お客様の「ほしい」を叶え直すことです。
サイズを合わせ直し、満足して使ってもらう。

その体験こそが、次の購入と信頼を生みます。
この3つを外せば、返品は機会に変わります。

まとめと関連記事

返品は、ファネルの終点ではありません。次の購入へ続く、折り返し地点です。
交換へ導く設計が、損失を機会に変えます。
〔顧客→優良顧客〕の階段は、返品対応の質で上がります。

関連記事として、同梱物による購入後CX設計、LINE×CRMの継続率向上もあわせてご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ルーチェ代表取締役   年商600億円の上場企業の通信販売会社 で販売企画から債権回収のまで16年経験。 その後、化粧品メーカーの中核 メンバーとして5年マーケティングに参画。 大手エステ系企業の通販ビジネスのサポート で200%売上アップ。 ニュージーランドのシンボルフルーツ企業の 販促支援でレスポンス率を2倍アップ。 某健康食品会社の事業開発及び通販支援で 新規会員数が2,000名増加など、 通販ビジネスと、売れる商品開発のプロ として誰もが知る有名企業の ヒット商品の誕生に多数関わる。 売れる商品を発掘し、ヒット商品に変える 独自メソッド 「ダイレクト通販マーケティング理論」 を提唱。 中小企業から中堅企業をメインに、 企業に眠る“売れる商品”の発掘を数多く サポートしている。 国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を 当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演。 また、著書にはベストセラーとなった、 伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)がある。